愛知県のほぼ真ん中にある岡崎市はあらゆる意味で平均的でバランスのとれた街です。伝統的な部分と近代的な部分があり、都会的な部分と田舎の自然もあるといった、一見、対照的な要素が混在していることが、岡崎の街を特長づけています。名古屋から40km程の所に位置する岡崎が個性を持ち続けているのは、日本の歴史の中で大きな部分を担ったところに起因しています。
 愛知県の西三河、矢作川と市内を流れる乙川(菅生川)が交わったところに、「岡崎城」があり、ここは群雄割拠の戦国時代を統制し、日本の基礎を築いた徳川家康公の生誕地なのです。市内には、松平家の菩提寺である「大樹寺」、極彩色の楼門をもつ「六所神社」や松平家の氏神「伊賀八幡宮」など歴史的な神社仏閣があちこちに点在し、江戸時代には、東海道の主要な宿場として栄えた岡崎宿や藤川宿の風情も残っているといった、正に岡崎は城下町としての魅力を備えています。岡崎城と岡崎公園そして乙川は岡崎景観の大きな要素で、忙しい岡崎の町中に安らぎを与える一方で、伝統を育むこの町の誇りを培っているとも言えます。
 伝統的な産物としては全国的に有名な「八丁味噌」があり、全国の有名料理店に出荷されるほか、市内のあちこちの料理店でも味わえます。また、墓石・灯籠などの石工業でも知られています。家康公の時代から続く花火産業も有名で、8月、岡崎城の真下、乙川(菅生川)河川敷で行われる花火大会は全国有数の華やかさで、市外からもたくさんの人々が訪れ賑わいます。
 岡崎の街は一方で、大変近代的な街でもあります。自動車産業や、ハイテク産業があり、また世界中からエキスパートが集まって研究をしている「国立共同研究機構」も存在します。さまざまなイベントが可能な「岡崎中央総合公園」や「おかざき世界こども美術館」、「三河武士の館・家康館」などユニークな施設も備わっています。
 人口37万人程の中規模都市「岡崎」は急速に成長していますが、ここに暮らす皆が住みやすいと評価する点は、公園やリクリエーションエリアが近くにあり、自然の中にも容易に出かけられるところでしょう。15分も走れば緑豊かな山々に出会えますし、20分も走れば風光明媚な三河湾にも行けます。また、地理的気候的にも真ん中にあるので、四季折々の催しも楽しめます。秋は市内の各公園の紅葉、数々ある神社やお寺でのお正月、勇壮な滝山寺の火祭り、桜の名所としても知られる岡崎公園や伊賀川の息をのむほど桜の見事さ、市の花「藤」も季節になれば藤まつり、夏祭りと花火大会と、一年を通じて鮮やか句読点が彩っています。
 確かに岡崎はいろいろな面で典型的な日本の街と言えますが、その歴史的背景と「真ん中」という、さまざまな可能性がこの街を特別なものにしています。